31 October 2014

his blue backpack

子どもを育てるということは、自分がいかに育てられたかを折に触れて思い出すことでもある。それはわりと、しんどいこと。

ある日曜日の午後、2時間だけ自由時間をもらって、小さなリュックを買いに行った。保育園の遠足のために、用意して下さいと言われたから。それで私は買いに行った。そのためだけに地下鉄に乗った。

子どもの頃の私がしてもらえなかったことを、したかったのだろうと思う。末っ子の私は、おもちゃも学用品も制服も、お下がりか、家のどこかにあるものを使うのが常だった。

その子のためだけに、子どもらしいものを、きちんと選んで用意してあげる。そこに満足を覚えた私は、けれどふと周りを見回すと、できたお母さんたちが多くて、気後れしてしまう。みんなにとって当たり前のような、リュックひとつ買う程度のことから出発している私は、もっと大きな意味できちんと子どもの心に向き合えている彼女たちには、なにもかも、もう決して追いつけない。

母が私に与えてくれたたくさんの愛情や体験や知識の半分も、私は息子に与えられないくせに、母のダメなところばかり、そのまま受け継いで、その小さな体に浴びせている。

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