金曜日の朝、私たちは南へ向かう通りを歩いた。
金曜日にしか開かないという、ごく小さなチーズケーキ屋を見つけ、
二つ買って、二人で朝のおやつにした。
明くる週の木曜日、今度は西へ向かった。
古い銭湯を改築したお店で昼食をとった。
お腹は満ち、ソファは居心地がよく、秋の日は暖かで、
私たちはつい、うとうとした。
金曜日、北へ向かい、色づき始めたいちょう並木の下をゆっくり歩いた。
中学生たちが駆け抜ける通りを、私たちはあくまでゆっくり、歩いた。
土曜日、歩き慣れた東への道。
いつも気になりながら立ち寄ることのなかったカフェにようやく入った。
一人で切り盛りされるその空間に流れる時間は緩やかで、
今の私たちにちょうどよかった。
日曜日、再び南へ、今度はもう少しだけ遠くへ。
袋小路に思わぬ抜け道を見つけ、嬉しくなった。
休日なのにたくさんの人であふれている大学の学食で昼食を取り、
こんななんでもない場所も、二人で来るのは初めてで、新鮮に感じた。
私たちの人生にもう二度と訪れることのない、
奇跡的に与えられた空白の時間を、
こんなふうにして私たちはゆっくり過ごした。
これから私たちの人生に訪れる変化への
期待と不安は胸にしまいこみ、
多くを語り合うことなく、
私たちはただ、ゆっくりと歩いた。
一歩一歩踏みしめるように、
時に立ち止り、
息をして、
座り込んで、
手を取って、
また立ち上がって。
この時間が二度と巡ってこないことを、惜しいとは思わない。
しかしこの先、私の人生の中で確実に、
かけがえのない日々として記憶されるのだろうとも、思う。
その次の火曜日、私たちは、三人になった。
11 December 2010
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